2011年2月28日から3月11日までの2週間、アートプロジェクト「あなたの“いのち”を支える手」が開催されました。今回のアートプロジェクトは、「病院スタッフの患者さんへの想い」をテーマに現代美術家の森口ゆたかさんをアーティストに迎えました。 病院スタッフへのインタビューから、そのことばと病院スタッフの手を「“いのち”を支える手」として表現してくださいました。
<森口ゆたかさんからのメッセージ>
「あなたの”いのち”を支える手」アートプロジェクトを終えて
今回のアートプロジェクトの目標は、医療者から患者さんへのHUG(ハグ:抱きしめること) の気持ちを伝えることでした。医療が進化すればするほど、皮肉にも、医療者と患者さんとの距離は広がります。けれどもどんなに技術や機械化が進もうとも、医療者の患者さんを救いたいという根本は変わらないのではないでしょうか? アーティストという第三者的な立場から今回病院の様々なセクションで働く人々を取材させていただいて、強くそれを感じました。患者さんと医療者が、揺ぎ無い信頼関係で結ばれることの一助として、アートがそのメッセージを届けることができれば、作者として無常の喜びです。
森口 ゆたか
病棟看護師の仕事と命に対する気持ちが表された作品。
外来スペースに展示されていました。空間に自然と馴染んで、そこにあるのが当たり前のようです。
普段、患者さんと接する事のない検査技師の想いも作品にしてくださいました。
B1への下るエスカレーターホールに展示された作品。降りるときに自然と目に入り、眺めていました。
2Fから1Fへ下りるエスカレーター正面に展示された作品。病棟看護師の笑顔が印象的です。
普段は患者さんの目に触れることのない手術室の様子。医師の手術へ対する真摯な気持ちが表されています。
作品が病院に溶け込んだような展示だったため診察を待っている間にゆっくり眺めている患者さんが多かったです。展示が終わった後は院内がとても殺風景に見えてしまいました…。 今回は、インタビューや撮影を受けていない部署の病院スタッフから「私の部署にもインタビューに来てほしかった」と嬉しいコメントがありました。病院スタッフは作品を通して、他部署の仕事や同僚の仕事への想いを知り、それぞれに感じた事があったと思います。病院スタッフにとっては、「医療者の根本」を考えさせるアートプロジェクトだったのかもしれません。 最後に、森口ゆたかさんの個展が開催されます!森口さんの作品をもっと見たい方は徳島県立近代美術館へどうぞ。
(文責:高島知佐子、大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員)
<森口ゆたか個展情報>
特別展「森口ゆたか-あなたの心に手をさしのべて」
触れ合う手、絡み合う紐などが、映像として浮かび上がる会場。そこには、かかわり、つながり合おうとする生命の姿が温かく提示されています。森口ゆたかは、揺るがない人間存在への敬意や慈しみに満ちあふれたインスタレーションを手がけ、生命や個人が尊ばれない現代社会において、明快なメッセージを発する作家です。生きづらく、人々の心が疲弊している今、森口は、作品を通じて改めて、アートの役割を鮮やかにみせてくれるでしょう。
【開催期間】2011年4月29日[金・祝] - 2011年6月26日[日]
【開催場所】徳島県立近代美術館 展示室3(2階)
【主催】徳島県立近代美術館
【休館日】月曜日、(休館日が祝祭日の場合は、その翌日) 【入館料】一般600円
【展覧会に関連した催し】アーティスト・トーク:4月29日[金・祝] 午後2時~3時 展示室(2階)森口ゆたか(本展出品作家) X 吉原美恵子(聞き手:当館学芸員)
※観覧券が必要です一般600円
【展示解説】 5月8日[日]、5月22日[日]、6月19日[日]午後2時~3時 展示室(2階) 学芸員による解説 ※観覧券が必要です一般600円。
【とくしま近美 こども鑑賞クラブ】 6月4日 午後2時~2時45分 展示室(2階) 保護者同伴可(保護者は要観覧券一般600円)
Copyright 2006-2011 徳島県立近代美術館.
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CocoA-Vol.8 アートプロジェクト2011「あなたの“いのち”を支える手」
主催:大阪市立大学医学部附属病院×大阪市立大学都市研究プラザ船場アートカフェ
会場:大阪市立大学医学部附属病院 期間:平成23年2月28日~3月11日(土日休み)
企画:森口ゆたか 大阪市立大学医学部附属病院良質医療委員会ボランティア活動作業部会
協賛:NPO法人アーツプロジェクト
撮影協力:大阪市立大学医学部附属病院薬剤部、中央臨床検査部、中央放射線部、中央材料部、中央手術部、看護部、庶務課(庶務、施設管理)、救急部、第1外科
制作:
<アートディレクター>森口ゆたか(アーティスト)
<制作協力>SKKY Inc. (鰺坂兼充)
運営:
<院内ディレクター>山口(中上)悦子(医療安全管理部、ボラWG)、丹後幾子(看護部、ボラWG)
<施設>平井祐範(庶務課施設管理担当)、武田幸(庶務課施設管理担当)、西口清二(庶務課施設管理担当)、森頼雄(庶務課施設管理担当)、渡邊俊夫(庶務課施設管理担当)
<調整>冨山康弘(庶務課、ボラWG)、久井彰(庶務課)、式庄華子(庶務課、ボラWG)、瀬川裕昭(医事運営課、ボラWG)
<事務局>杉山暁子(庶務課、ボランティア・コーディネーター、ボラWG)、巽花子(庶務課、ボランティア・コーディネーター、ボラWG)、高島知佐子(都市研究プラザ、アートマネージャー)
<統括>石井正光(ボラWGリーダー、副学科長)、荒川哲男(良質委委員長、副院長)
<船場アートカフェ>中川真(文学研究科教授、プロデューサー)、高岡伸一(都市研究プラザ、事務局長)